「妊活をしているけれど、なかなかうまくいかない」──そんな声を、40代だけでなく30代の女性からもよく聞きます。東洋医学では、生殖力の土台となるのは「腎」と考えられています。腎はホルモンや成長、老化に関わる生命エネルギーの源であり、妊娠や出産にも深く関係しています。
冷えはまた、お産に大きく影響する要因のひとつです。中村らの研究(2010)では、冷えを自覚する女性はお産に伴うトラブルが多いことが報告されています。
では、どうすれば冷えを改善し、腎を養うことができるのでしょうか?
東洋医学的には、日常生活の工夫やセルフケアで体を整えることが大切です。その中で、お灸は手軽に取り入れられる方法のひとつです。お灸による心地よい温熱刺激は、自律神経の働きを正常化させることにより血流を促し、冷えや疲労感をやわらげ、心身をリラックスさせる効果が期待できます。
妊活に取り組む女性にとって、腎を意識したケアは未来の体づくりにつながります。お灸を活用して、自分の体をやさしく整えてみませんか?
お灸の材料となるモグサの原料は、ヨモギです。
春から初夏にかけて野山に茂るヨモギは、昔から「ハーブの女王」と呼ばれるほど薬草として親しまれてきました。
ヨモギの葉を乾燥させると、表面の裏側にある白い綿毛が残ります。
この綿毛を何度も臼でつき、ふるいにかけて不純物を取り除いたものがモグサになります。
時間と手間をかけて細かく精製するほど、柔らかく、火のつき方や熱の伝わり方が穏やかになり、灸に適した高品質のモグサになるのです。日本には、石臼で丁寧に挽きながら不純物を極限まで取り除いたモグサを製造する技術が残っています。実際に手にすると、上質なモグサはとても軽くて、ほんのりとヨモギの香りがします。燃やしたときのやさしい温かさと香りは、体だけでなく心もほっとさせてくれます。
こうして自然の恵みから作られたモグサは、私たちの体を温め、めぐりを整えるセルフケアのパートナーとして、今も大切に受け継がれています。
せりえ鍼灸室は、東洋医学の知恵と繊細な技術で、妊娠中だけでなく、その他のステージの女性のからだや妊活もサポートしています。
次回から、おすすめのツボと簡単にできるお灸の方法をご紹介します。
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