伝統医療部門での入院患者治療と臨床交流
16日は、札幌の医療機関や企業関係者と共に、ハドン総合病院115周年記念会議に出席。その後、伝統医学部門の病棟で、入院中の患者さんを診療する機会が設けられました。



ベトナムでは一般的に中国式の太い鍼を用いますが、私たちが使用する日本製の細い鍼や浅い刺鍼法には多くの関心が寄せられました。副院長・辻内敬子先生の施術を見守る医師たちの目は真剣そのもの。
「妊婦への鍼灸ケアや逆子治療の方法を学びたい」という声も多く、日本鍼灸の安全性と繊細さが国際的に評価されていることを実感しました。
学術発表と115周年記念式典
翌17日の学術会議では、辻内先生が
「Acupuncture for Women in Japan ― Applications and Potential」というテーマで発表。日本で行われた円皮鍼を用いた能性月経困難症の研究、私たちが行った更年期症状をSMIで評価した研究、コクランレビューに採用された逆子に対するランダム化比較試験の研究、不妊治療クリニックでのプレコンセプションケアの一つとして鍼灸治療が取り入れられているケースなど、せりえ鍼灸室がこれまで30年以上にわたり取り組んできた産前・産後ケア、逆子治療や腰痛など妊娠期のマイナートラブルに対する臨床研究の成果をご紹介しました。

発表後には、逆子治療の安全性に関する質問が相次ぎ、最も多く寄せられた質問は、「妊娠中の女性に対する安全性について」でした。医師からは、ベトナムでは行われていない日本式の技法を用いた妊婦さんへの治療に関心が集まりました。




「安全で心地よい刺激を用いた日本の鍼灸技術」として、
現地の伝統医学医師たちから多数の質問が寄せられ、
国境を越えた専門職同士のディスカッションが活発に行われました。
また、当院が実践する医師・助産師・鍼灸師の連携体制が高く評価されました。
ハドン総合病院の公式Facebookでも、辻内先生の学術発表の様子や交流の記録が紹介されています。
(🔗 投稿はこちら → Hà Đông General Hospital Facebook)

夜の記念式典では、約1,000人が集まり、表彰式や伝統舞踊、ベトナム式乾杯が盛大に行われました。
笑顔と祝福に包まれたその場で感じたのは、「国を越えても医療の原点は人の心にある」ということ。
今回の訪問は、臨床・研究・国際交流の三位一体で得た大きな成果であり、鍼灸が共感と信頼を生む力を改めて確信する旅となりました。


これからもせりえ鍼灸室は、女性の健康と命を支える日本鍼灸を世界へ発信し続けてまいります。
せりえ鍼灸室は、東洋医学の知恵と繊細な技術で、妊娠中だけでなく、その他のステージの女性のからだや妊活もサポートしています。
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