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【シリーズ第4回】つわりを軽くしたい。鍼灸は役に立つ?

—エビデンスと臨床経験からわかりやすく解説—

妊娠初期に最も多い悩みといえば「つわり」。妊婦の50~80%程度にみられるといわれています。
妊娠5〜6週ごろから始まり、12〜16週頃には自然に落ち着くとされますが、吐き気・嘔吐・だるさ・食べられないつらさは、日常生活に大きく影響します。

この記事では、西洋医学の正しい知識東洋医学(鍼灸)のアプローチをわかりやすく紹介します。
「なるべく薬を使いたくない」「少しでもつらさを軽くしたい」という妊婦さんに向けて、せりえ鍼灸室が大切にしているケア法をまとめました。

1. 西洋医学:つわりはなぜ起こる?何をすればいい?

当院が手元に置き常に参考にしている書籍には、つわりは
妊娠に伴うホルモン変化・代謝変化・精神的ストレスなどが重なり、母体が一時的に適応できないことで起こる“生理的な現象” と解説されています。「病気がみえるvol.10 産科(第4版)」より

〇つわりの特徴

  • 主な症状:悪心・嘔吐、食欲低下、全身倦怠感
  • 発症:妊娠5〜6週頃
  • ピーク:妊娠8〜10週頃
  • ほとんどは自然に改善:妊娠12〜16週

「morning sickness」と呼ばれますが、朝だけでなく一日中続く方も珍しくありません。

〇つわりの対処法(西洋医学)

  • 少量をこまめに食べる
  • 匂いの強い食品を避ける
  • 消化のよいものを選ぶ
  • 無理をしない、休息を増やす

胎児はまだ小さく、この時期は母体に蓄えられた栄養で育つため、無理に食べようと頑張らなくても大丈夫とされています。

2. 重症化したら「妊娠悪阻」——早めに受診を

つわりとは異なり、治療が必要になるのが 妊娠悪阻(にんしんおそ)

〇妊娠悪阻の特徴

  • 嘔吐が止まらない
  • 体重が5%以上減る
  • 尿ケトン体陽性
  • 脱水や電解質異常が出る

0.5~2% の妊婦さんに起こり、入院治療(点滴・安静)が必要になります。
不安が強い方、若年者、多胎妊娠、前回発症した方はリスクが高いとされています。

強い脱水、食事ができない、急激な体重減少 があるときは、必ず産科へご相談ください。

3. 東洋医学:つわりは“腎気の消耗”と“冷え”が関係?

東洋医学では、つわりは 妊娠で「腎気(生命エネルギー)」が消耗し、体の温める力や水分代謝が弱くなることで起こる と考えます。

〇腎が弱るとどんな症状が?

  • 吐き気・食欲低下
  • むくみ
  • だるさ
  • 頻尿・夜間尿
  • 冷え

妊娠によって腎気が消耗され、そこへ「冷え」が加わると症状が強く出がちです。

腎が弱る → 水の調整が弱る → むくみ・頻尿へ

  • 腎は「水の代謝」を統括する臓
  • 腎気が減るとむくみや頻尿が出やすい
  • 冷えが腎をさらに弱らせる → つわりが悪化

体を温め、腎気を補うことで、むくみ・頻尿・吐き気が同時に軽くなるケースは臨床でも多く見られます。

4. 鍼灸はつわりに役立つ?——エビデンスと経験から

つわりに対する鍼灸の臨床研究は、世界的にも多く行われています。


〇エビデンス(Matthewsらのコクランレビュー2015)

生姜は、弱いながらも効果が認められている

内関(PC6)の指圧は「可能性はあるが、証拠は限定的」との評価

副作用が少ない、安全性の高い対処法として推奨できる→試す価値あり!
→ ただし過剰に期待しすぎない、というバランスが大切。「試してみて、効けばラッキー」くらいの気持ちで

コクランレビューは、厚労省が運営している「統合医療情報発信サイト」で読むことができるので、参考にしてみてください。

5. せりえ鍼灸室が行う、安心の“統合ケア”

当院では、
西洋医学と東洋医学の得意分野を組み合わせたケア を大切にしています。

西洋医学の視点

  • 妊娠悪阻の兆候がないか
  • 脱水・栄養状態を確認
  • 安全に治療できるかの判断

東洋医学の視点

  • 腎気の消耗
  • 冷えの有無
  • 気血の偏り
  • むくみ・頻尿・胃の働きの弱り

双方を丁寧にみていくことで、妊婦さんの負担を最小限にしながら、症状を確実に軽減する道が見えてきます。

6. セルフケア:今日からできるやさしいつわり対策

  • あたたかい飲み物を少しずつ
  • 空腹・満腹を避ける
  • 生姜を無理なく取り入れる
  • 内関(PC6)を軽く押す
  • 香りが苦手な食材は避ける
  • できるだけ休む
  • 無理に食べなくていい。食べられるものは何でも食べる
    (胎児は母体の栄養で育ちます)
  • 周囲の人たちを頼り、助けを求める

「できることを、できるときに」が合言葉です。

まとめ:つわりは“がまんしなくてもいい時代”へ

つわりは、多くの妊婦さんが経験する自然な体の反応。
だからこそ「仕方ない」と我慢される方が多いのですが、
安全な非薬物療法で軽くできる可能性は十分にあります。

  • 科学的根拠に基づくケア(内関刺激・生姜)
  • 体質に合わせた鍼灸
  • 無理のない生活アドバイス

つわりでつらい時間が少しでも減り、「妊娠期をもっと安心して過ごせた」と感じていただけることが、私たちの願いです。

つらいときは、どうぞ一度ご相談ください。

この記事の内容について、動画でもわかりやすく解説しています。
初めて鍼灸を受けるか迷っている方にもおすすめです。
文章では伝えきれないポイントもお話ししていますので、ぜひこちらもご覧ください。
YouTube動画はこちら

次回第5回のテーマは「妊娠中の腰痛・坐骨神経痛 薬が使えない時の‟安全な選択肢”としての鍼灸」です。安全性と有効性についてエビデンスを元に解説します。ご期待ください。

せりえ鍼灸室は、東洋医学の知恵と繊細な技術で、妊娠中をはじめ、その他のステージの女性のからだや妊活もサポートしています。

© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。

院長 小井土善彦

全日本鍼灸学会認定鍼灸師。京都市生まれ。 ●略歴 旧早稲田鍼灸専門学校卒業 明治国際医療大学大学院鍼灸学専攻博士課程前期(修士)終了(鍼灸学修士) 筑波技術大学客員研究員(2014年~2017年) 全日本鍼灸学会認定委員会審査委員(2014年~) 現代医療鍼灸臨床研究会会員(評議員) ●教育 神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科 非常勤講師 (2008年~) 森ノ宮医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2009年~2016年) 東京有明医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2016年~) ●所属学会 全日本鍼灸学会、日本母性衛生学会、日本東洋医学会、日本脳神経外傷学会 ●主な研究テーマ 産婦人科領域における鍼灸治療の研究 軽度外傷性脳損傷および軽度外傷性脳損傷に対する鍼灸治療に関する研究 ●趣味、特技 スキー、音楽鑑賞、読書、写真、旅行、ドライブ、釣り、シュノーケリング、キャンプ、ハイキング、料理、ショッピング、昼寝・・・

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