妊婦さん向け「安全に使う3つのポイント」
自宅でできるお灸セルフケアが広がる一方で
お灸は中国で発祥し、6世紀に日本へ伝わって以来、治療や養生として人々の健康を支えてきました。
時代とともに灸法や灸具は改良され、現在では台座灸など、誰でも簡単に使える製品が普及しています。

当院でも、セルフケアとしてのお灸をおすすめしたり、お灸教室を開催するなど、積極的に活用してきました。
しかしその一方で、国民生活センターには台座灸によるやけどの相談が報告されており、実際に当院でも軽度の熱傷を経験した方がいらっしゃいました。
市販の台座灸にはバラツキがあり同じ銘柄でも「どれも同じ温度」ではありません
私たちは、こうした経験を踏まえ、市販されている台座灸12種類を対象に最高燃焼温度を測定しました。
その結果、銘柄によって最大で約6℃の温度差があることがわかり、この結果を学会で報告しています
(小井土善彦ほか,全日本鍼灸学会雑誌2023)。
このことは、「製品選び」だけでなく「製品の温度特性を理解した上での使い方」も安全性に直結することを示しています。
エビデンスで確認されたお灸セルフケアの効果と安全性
台座灸を用いたセルフケアについては、ランダム化比較試験(RCT)で効果と安全性を検証しています。
その研究では、延べ8,000回以上のセルフ灸でやけどはゼロという結果が得られました。
さらに、
- 冷えの改善
- 肩こり・むくみの軽減
- 睡眠の質の向上
- 施灸終了後も効果が持続
といった変化が確認され、「お灸をすると体調が良い」と感じる方が多い理由を裏づける結果となりました。
詳しくは、「シリーズ 42歳からのお灸教室3回目 お灸でできるセルフケア 〜冷え改善と安全な取り入れ方〜」を参考にしてください。
妊婦さん向け|安全に使う3つのポイント
妊娠中のお灸セルフケアでは、次の3点が特に重要です。
① やけどにならない
・熱さを我慢しない
・違和感があればすぐに外す
・同じ場所に続けて使わない
② やりすぎない
・回数や刺激量は控えめに
・「効かせよう」としないことが大切
③ のんびり気長に楽しむ
お灸は治療というより、体をいたわる時間。
妊娠中は特に「整える」感覚を大切にしましょう。
※施灸中にお腹の張りや違和感が出た場合は、すみやかに中止してください。
※妊娠中は、必ず主治医に相談したうえで行いましょう。
東洋医学的に大切にされてきたツボ「三陰交」
女性の養生や妊娠期のケアでよく知られているツボが三陰交(さんいんこう)です。
冷えやむくみのセルフケアとしても用いられますが、妊娠中は状態の見極めが重要です。
そのため、実際のツボ選びや方法については、
きゅう師(国家資格)への相談を強くおすすめしています。
お灸は「正しく使えば、心強いセルフケア」
お灸は、正しい知識と安全管理のもとで行えば、
妊娠中の冷え・むくみ・睡眠トラブルをやさしく支えるセルフケアになります。
せりえ鍼灸室では、
医学的な情報と研究エビデンスを大切にしながら、
妊婦さん一人ひとりの状態に合わせた安全なセルフケアのサポートを行っています。
「自分に合ったお灸の使い方を知りたい」
そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
次回第9回のテーマは「妊娠後期〜出産準備に向けたからだづくり— 東洋医学の視点から —」です。ご期待ください。
せりえ鍼灸室では、医学的な情報と鍼灸のエビデンスを共有しながら、妊婦さん一人ひとりの気持ちと状況に寄り添い、医療と連携したサポートを大切にしています。
© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。
コメント