無痛分娩を選ぶ妊婦さんが増えている背景
近年、当院を受診される妊婦さんの中でも、無痛分娩を選択している方が増えています。
その理由として多いのが、逆子(骨盤位)です。
逆子の場合、現在の日本では原則として帝王切開となる施設がほとんどです。
自然分娩を希望している方はもちろん、無痛分娩を選択している方にとっても、帝王切開は「できるなら避けたい」と感じるのが自然な気持ちでしょう。
西洋医学から見た無痛分娩のメリット
無痛分娩は、適切な管理と処置が行われれば、
- 分娩時の痛みが軽減される
- お産による身体的ダメージが少なくなる
という大きなメリットがあります。
「痛みが少ない=楽なお産」という単純な話ではなく、身体への負担を減らす選択肢として無痛分娩を選ぶ方も増えているのが現状です。
東洋医学が考える「妊娠期の身体の状態」
一方、東洋医学では、妊娠期間を通して
母親の「原気(げんき)」が胎児に注がれ続けている
と考えます。
そのため、出産を迎える頃には、母体の原気はすでに消耗している状態にあります。その状態から夜も昼も眠れない過酷な育児がスタートすることになります。疲れ切った身体では、ゆとりをもって赤ちゃんに接するのは大変です。
東洋医学が妊娠中からの身体づくりを重視するのは、このためです。

どの分娩スタイルを選択する場合であっても、
妊娠中にどれだけ身体を整えてきたかが、産後の回復力に影響する
と考えています。
出産準備の鍵は「腎・脾・肝」を整えること
東洋医学的に、妊娠初期から特に大切にしたいのが、次の3つの働きです。
- 腎:生命力・回復力・出産に向かう力
- 脾:栄養を巡らせ、気血を生み出す力
- 肝:気の巡り・緊張と弛緩のバランス
これらを妊娠中から整えておくことで、
出産に向かう力を蓄え、産後の消耗を最小限に抑えることを目指します。
当院の副院長は、こうした考え方を
『東洋医学ではじめる出産準備教室―妊産婦と赤ちゃんのための身体づくり・セルフケア』医歯薬出版(株)
としてまとめ、産科施設での妊娠準備教室などで活用されることを願って執筆しました。
出産はゴールではなく次のステージへと続く「スタート」
最近、当院では妊娠中期の段階から、
産後のサポート体制が整っているかを必ずお聞きするようにしています。
出産後の育児は、想像以上に女性の身体へ負担がかかります。
「産んだら終わり」ではなく、産んでからが本番です。
当院では、
- 赤ちゃんと一緒に来院できる
- ベビーベッドを設置した治療室
を用意し、つらくなったときに治療を受けられる場所であり続けたいと考えています。
無痛分娩が広がる今こそ、東洋医学の視点を
2025年には、東京都で無痛分娩費用の助成制度が始まりました。
今後、無痛分娩を選択する妊婦さんは、さらに増えていくと考えられます。
だからこそ、
- 痛みを和らげる選択
- 産後まで見据えた身体づくり
その両方を支える手段として、東洋医学を上手に取り入れてほしいと私たちは考えています。
せりえ鍼灸室が大切にしていること
せりえ鍼灸室では、
- 医学的に正しい情報
- 鍼灸のエビデンス
- 妊婦さん一人ひとりの価値観
を大切にしながら、妊娠初期から産後までを見据えたサポートを行っています。
「どんなお産を選んでも、後悔の少ない準備をしたい」
そう思われたときは、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事の内容について、動画でもわかりやすく解説しています。
初めて鍼灸を受けるか迷っている方にもおすすめです。
文章では伝えきれないポイントもお話ししていますので、ぜひこちらもご覧ください。
次回第10回のテーマは、「産後の回復のために出産後すぐからできる鍼灸ケア・セルフケア」です。ご期待ください。
せりえ鍼灸室では、医学的な情報と鍼灸のエビデンスを共有しながら、妊婦さん一人ひとりの気持ちと状況に寄り添い、医療と連携したサポートを大切にしています。
© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。
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