第3回(セルフケア導入)
49歳から始めるお灸セルフケア
― 自律神経を整え冷えを改善するやさしい習慣 ―
更年期に「お灸」が向いている理由
49歳前後から現れやすい
- 冷え
- 眠りの質の低下
- 気分の揺れ
- 疲労感が抜けにくい
こうした不調の多くは、自律神経の調整力が揺らぐことと深く関係しています。
東洋医学では、更年期は単に「女性ホルモンが減る時期」ではなく、
身体が次のライフステージへ移行するための再調整の時期と捉えます。
お灸は、皮膚への穏やかな温熱刺激を通じて、
末梢から中枢神経系へ働きかけ、自律神経の過緊張をゆるめ、血流を整えるセルフケアです。
当院では、こうしたお灸の特性と安全性を長年の臨床経験をもとに整理し、
お灸メーカーと協力して監修した書籍『お灸のすすめ』を刊行してきました。
この書籍では、
「強くしないこと」「がんばらないこと」を前提に、
家庭で安全に続けられるお灸の考え方を、一般の方にも分かる言葉でまとめています。
「強くしない」「がんばらない」ケアが基本です
更年期のセルフケアで最も大切なのは、
一生懸命やらないことです。
- 熱さを我慢しない
- 数を増やさない
- 効かせようとしない
『お灸のすすめ』でも繰り返しお伝えしているのは、
お灸は刺激療法ではなく、調整のためのケアだという考え方です。
「今日は1か所だけ」
「疲れているから今日はやめておく」
そうした判断ができること自体が、
更年期の体にはとても大切なセルフケアになります。
自律神経を整え冷えを改善する東洋医学の視点
更年期の冷えは、単なる体温の問題ではありません。
血流調整や神経の切り替えがうまくいかない状態として現れることが多くあります。
- 下半身が冷えているのに上半身はほてる
- 手足は冷たいのに顔は熱っぽい
こうした状態を、東洋医学では「全身のバランスの乱れ」として捉えます。
そのためお灸では、
身体の土台になる足元にあるツボを中心にやさしく温め、
部分的ではなく全体の巡りを整えることを重視します。
これは『お灸のすすめ』でも一貫している考え方です。
安全に続けるために知っておきたいポイント
🔸 熱さについて
「じんわり温かい」と感じたら十分です。
ピリッとした刺激や我慢は必要ありません。
🔸 煙について
現在は、煙やにおいの少ないお灸もあり、
換気をすれば室内でも問題なく使用できます。
火を使わないお灸もあります。
🔸 頻度について
毎日である必要はありません。
週に1~2回でも体は反応します。
『お灸のすすめ』でも、
「続けられる頻度こそが最適な頻度」としています。
「毎日じゃなくていい」
更年期の女性は、
仕事、家庭、親のことなど、すでに多くの役割を担っています。
セルフケアまで「ちゃんとやらなきゃ」となると、
それ自体がストレスになりかねません。
お灸は、
思い出した時に、できる範囲で。
それで十分です。
自宅ケアと専門家のケアは対立しません
セルフケアは、
「医療を代替するもの」でも
「我慢するためのもの」でもありません。
- 自分の体調変化に気づく
- 不調をこじらせない
- 専門家に相談するタイミングを見極める
そのための“入り口”です。
当院のお灸教室では、
『お灸のすすめ』の内容を土台にしながら、
一人ひとりの体調や生活背景に合わせた安全な使い方をお伝えしています。
本を読んだだけではよくわからない時や不安な方は、国家資格を有している身近な「きゅう師」を探して、相談してみてください。
せりえ鍼灸室では、医学的な情報と鍼灸のエビデンスを共有しながら、妊娠期だけでなく、更年期を含む女性のライフステージ全体を見据えた鍼灸ケアを行っています。
症状だけでなく、その方の生活背景やこれまでの経過を大切にしながら、医療と連携した無理のない健康支援を心がけています。
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