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【シリーズ:刺しません】第8回:子どもの鍼治療はなぜ刺さないのか

「子どもに鍼って痛くないの?」「危険ではないの?」
日本では古くから、乳幼児や子どもには刺さない鍼(小児はり)が行われてきました。子どもの体の特徴や発達に配慮したやさしい刺激には、長い歴史と医学的な背景があります。さらに、小児はりの道具や技術は、大人の治療にも応用されています。今回は、小児はりの歴史や皮膚刺激の役割、安心して選ばれている理由について解説します。

子どもに鍼治療と聞くと、不安に感じませんか?

「鍼は大人が受ける治療」
そのような印象を持つ方は少なくありません。

特に子どもに対しては、

・痛そうで心配
・怖い思いをさせたくない
・本当に安全なのか分からない

と感じる保護者の方が多いと思います。

しかし、日本では古くから、子どものために工夫された刺さない鍼治療(小児はり)が行われてきました。

小児はりの歴史

日本で育まれてきた子どものための鍼治療 ―

鍼治療の基本となる鍼には、一般的に皮膚へ刺入する「毫鍼(ごうしん)」と呼ばれる種類があります。

一方、小児はりは、毫鍼とは異なり、皮膚への刺激を中心に行う特殊な鍼施術のひとつです。

東洋療法学校協会が編集した教科書『はりきゅう理論 第3版』では、小児はりについて次のように説明されています。

小児特有の病態(かんのむしなど)を対象に、症状改善や体質改善を目的として、皮膚刺激を中心に行われる鍼施術であるとされています。

歴史的には、皮膚からの出血を伴う刺激が行われていた時代もありました。しかし昭和初期、小児科医の藤井秀二によって、軽い皮膚刺激を特徴とする小児はりが普及しました。

この流れの中で、日本では現在、刺入を伴わない、または極めて浅い刺激による小児はりが一般的に行われています。

子どもの体は「皮膚の感受性」がとても高い

子どもは大人と比べて、

・皮膚が薄い
・神経が敏感
・刺激への反応が強い

という特徴があります。

そのため、わずかな皮膚刺激でも、身体に様々な反応が起こると考えられています。

近年の皮膚研究では、皮膚は単なる外側の組織ではなく、外界からの刺激を感知し、身体へ情報を伝える重要な感覚器官であることが明らかになってきました。

小児はりは、この皮膚の特性を活かした施術方法といえます。

皮膚刺激と子どもの発達

乳幼児期は、身体と神経系が急速に発達する時期です。

この時期の皮膚刺激は、

・身体の調整機能
・自律神経のバランス
・安心感や情緒の安定

などに関わる可能性があると考えられています。

赤ちゃんマッサージなどが広く行われているのも、皮膚への触刺激が発達に関係することが知られているためです。

私たちは、小児鍼の手法をベビーマッサージに取り入れて欲しいと「東洋医学で自然治癒力を高める 0ヶ月からのベビーマッサージ&つぼ療法」を執筆しました。

小児はりも同様に、やさしい皮膚刺激を通して子どもの身体を整えることを目的に行われています。

技術評論社2005年

小児はりの道具や技術は大人の治療にも応用されています

小児はりは「子ども専用の治療」と思われがちですが、実はその道具や技術は、大人の施術にも広く応用されています。

皮膚に触れる・なでる・転がすといった小児はりの刺激は、

・刺激に敏感な方
・慢性疲労がある方
・体力が低下している方
・鍼に不安を感じている方

など、大人の患者さんに対しても有効に活用されています。

近年は、皮膚へのやさしい刺激が身体の調整機能に影響を与える可能性が基礎研究でも示されており、小児はりの考え方は、年齢を問わず応用できる施術方法として注目されています。

保護者が安心して選びやすい理由

小児はりの特徴は、治療効果だけではありません。

保護者にとって大きな安心につながる点として、

・刺さないため痛みがほとんどない
・短時間で施術が終わる
・子どもの反応を確認しながら行える

という特徴があります。

また、小さな頃から「怖くない医療体験」を持つことは、将来の医療への安心感にもつながると考えられています。

子どもの身体は大人の縮小版ではありません

東洋医学では、子どもの身体は発達の途中にあり、大人とは異なる特性を持つと考えます。

そのため、刺激の種類や強さも、大人とは変える必要があります。

小児はりは、子どもの体質や発達段階に合わせて行われる、日本独自の医療文化のひとつでもあります。そしてその考え方は、大人の施術においても、体の状態に応じて刺激を調整する日本鍼の特徴として受け継がれています。

子どもの体調が気になるときは

子どもの体調不良は、言葉で表現できないことも多く、保護者の方が気づくことが大切になります。

・夜泣き
・かんしゃく
・眠りの浅さ
・体調を崩しやすい
・お腹の不調
・落ち着きにくさ

などが気になる場合は、身体からのサインかもしれません。

刺さない鍼は、子どもの身体に配慮しながら行うケアの選択肢のひとつです。気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

◎ 刺さない鍼について相談できます

当院では、刺さない鍼から治療を始めることも可能です。
体質やご希望、既往歴などを丁寧に伺いながら、施術方法を一緒に考えていきます。

鍼に不安を感じている方も、どうぞ安心してご相談ください。

せりえ鍼灸室では、医学的な情報と鍼灸のエビデンスを共有しながら、妊娠期だけでなく、乳幼児期から更年期やシルバー世代を含む女性のライフステージ全体を見据えた鍼灸ケアを行っています。症状だけでなく、その方の生活背景やこれまでの経過を大切にしながら、医療と連携した無理のない健康支援を心がけています。

© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。

院長 小井土善彦

全日本鍼灸学会認定鍼灸師。京都市生まれ。 ●略歴 旧早稲田鍼灸専門学校卒業 明治国際医療大学大学院鍼灸学専攻博士課程前期(修士)終了(鍼灸学修士) 筑波技術大学客員研究員(2014年~2017年) 全日本鍼灸学会認定委員会審査委員(2014年~2022年) 全日本鍼灸学会経絡経穴委員会委員(2022年~) 現代医療鍼灸臨床研究会会員(評議員) ●教育 神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科 非常勤講師 (2008年~) 森ノ宮医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2009年~2016年) 東京有明医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2016年~) アルファ医療福祉専門学校非常勤講師(2023年~) ●所属学会 全日本鍼灸学会、日本母性衛生学会、日本東洋医学会、日本脳神経外傷学会 ●主な研究テーマ 産婦人科領域における鍼灸治療の研究 軽度外傷性脳損傷および軽度外傷性脳損傷に対する鍼灸治療に関する研究 ●趣味、特技 スキー、音楽鑑賞、読書、写真、旅行、ドライブ、釣り、シュノーケリング、キャンプ、ハイキング、料理、ショッピング、昼寝・・・

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