東洋医学がみる「妊娠のためのからだの土台」
不妊治療を受けている方の中には、「検査では異常がないのに妊娠しづらい」「心身のバランスが崩れている気がする」と感じる方も少なくありません。
東洋医学では、妊娠に関わる身体の力を「腎気(じんき)」と呼び、年齢や月経の状態だけでなく、食欲・睡眠・排泄といった日常の健康状態も大切に考えます。
本記事では、東洋医学の視点から見た不妊リスクと対策を、年齢・月経・健康状態の3つの観点から解説します。
1. 東洋医学における「腎気」とは
東洋医学では、「腎気」は生命の根本的なエネルギーであり、生殖や成長、老化に深く関わると考えます。
腎気は、生まれたときに持っている“先天の気”と、食事や呼吸から得られる“後天の気”によって養われています。
つまり、毎日の生活の中で、体に取り入れる“気”の質と量が、将来の妊娠力にも影響するのです。
2. 「後天の気」を育てる ― 日常の健康状態を見直す
私たちの腎気は、脾胃(消化器)による「地の気」と、肺(呼吸器)による「天の気」をもとに作られます。
これらが合わさり、後天の気として体の中で巡り、先天の気を補って生命活動を支えます。
したがって、次のような「当たり前の健康な毎日」を送ることが、腎気を養う第一歩です。
- お腹が減って、ご飯が美味しく食べられる
- 大小便がスムーズに出る
- 夜はぐっすり眠れて、朝はすっきり目覚める
このような基本的な健康状態は、妊娠しやすい身体のバロメータとしても非常に重要です。

3. 年齢と腎気の関係
腎気は加齢とともに少しずつ減っていくとされます。年齢を重ねるごとに様々な機能も低下します。消化を支える脾胃の機能も同じ。カラダに良い食べ物やサプリメントを摂取しても、消化する力が落ちてくると効率よく体内に吸収することができなくなります。
そのため、年齢を重ねるほど、食事・睡眠・生活リズムによるサポートがより重要になります。
30代後半から40代にかけて、ホルモンバランスの変化を感じる方は多いですが、これは腎気の衰えのサインでもあります。
無理に「若さを取り戻す」ことを目指すのではなく、今の身体をいたわりながら整えることが、東洋医学的な妊活の本質です。

4. 東洋医学から見た不妊リスクへの対策
- 脾胃を整える(バランスの取れた食事、脾胃に負担をかけ過ぎないようによく嚙んで食べること)
- 肺を養う(深い呼吸、十分な休息)
- 腎を補う(冷やさない、冷えてしまったら温める、無理をしない・無理をしたときは休む)
これらのバランスを整えることで、身体全体の“気・血・水”がスムーズに巡り、月経周期や基礎体温の安定にもつながります。
鍼灸治療では、これらの要素を個々の体質や生活環境に合わせて調整し、身体の自己調整力を高めるサポートを行います。

①腎気が最も充実している若年で、月経状態も健康状態も良好であれば、不妊リスクは低く、自然妊娠が期待できる。若さに任せて無理をし続けたり、食事や睡眠をおろそかにしていると、腎気は十分に養えず、思わぬところで失速し、③の状況になる危険性があるので、プレコンセプションケアの考え方は必要です。
②腎気が衰え始める35歳を超えると、月経状態や健康状態が良好でも、年齢による妊娠力の低下は避けられないのが現実。元々元気な方でも、20歳代と同じ様にカラダを酷使し続けていると、大きなトラブルになる危険性があります。生活習慣を見直し、年齢に合ったカラダの使い方に修正しながら、妊娠力をキープしましょう。
③腎気が最も充実している若い年齢であっても、月経状態や健康状態が良好でない場合は、将来の健康や妊娠を考え、過度なストレスを避け、栄養・運動・睡眠を整え、月経状態を改善することが大切。
④腎気が衰え始める35歳を過ぎ、月経状態と健康状態がともに良好とはいえない方は、西洋医学的なサポートとともに、腎気を損なわない生活とともに脾胃を整え腎気を養うことが大切です。治療と共に養生の考え方も内包している東洋医学の知恵や技術が大きな力を発揮すると思われます。
5. まとめ ― 「腎気を養う生活」が妊活の基本
「腎気を整えること」は、単なる不妊対策にとどまらず、心身の健康を育む基盤です。
“妊娠するための治療”から、“自分の身体を理解し、整える暮らし”へ。
せりえ鍼灸室は、そんな東洋医学の知恵を通して、一人ひとりのライフステージに寄り添うサポートを行っています。
この記事の内容について、動画でもわかりやすく解説しています。
初めて鍼灸を受けるか迷っている方にもおすすめです。
文章では伝えきれないポイントもお話ししていますので、ぜひこちらもご覧ください。
YouTube動画はこちら
せりえ鍼灸室は、東洋医学の知恵と繊細な技術で、妊娠中だけでなく、その他のステージの女性のからだや妊活もサポートしています。
© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。
コメント