—エビデンスと臨床経験からわかりやすく解説—
妊娠初期に最も多い悩みといえば「つわり」。妊婦の50~80%程度にみられるといわれています。
妊娠5〜6週ごろから始まり、12〜16週頃には自然に落ち着くとされますが、吐き気・嘔吐・だるさ・食べられないつらさは、日常生活に大きく影響します。
この記事では、西洋医学の正しい知識と東洋医学(鍼灸)のアプローチをわかりやすく紹介します。
「なるべく薬を使いたくない」「少しでもつらさを軽くしたい」という妊婦さんに向けて、せりえ鍼灸室が大切にしているケア法をまとめました。🔶Youtube動画はこちら

1. 西洋医学:つわりはなぜ起こる?何をすればいい?
当院が手元に置き常に参考にしている書籍には、つわりは
妊娠に伴うホルモン変化・代謝変化・精神的ストレスなどが重なり、母体が一時的に適応できないことで起こる“生理的な現象” と解説されています。「病気がみえるvol.10 産科(第4版)」より
〇つわりの特徴
- 主な症状:悪心・嘔吐、食欲低下、全身倦怠感
- 発症:妊娠5〜6週頃
- ピーク:妊娠8〜10週頃
- ほとんどは自然に改善:妊娠12〜16週
「morning sickness」と呼ばれますが、朝だけでなく一日中続く方も珍しくありません。
〇つわりの対処法(西洋医学)
- 少量をこまめに食べる
- 匂いの強い食品を避ける
- 消化のよいものを選ぶ
- 無理をしない、休息を増やす
胎児はまだ小さく、この時期は母体に蓄えられた栄養で育つため、無理に食べようと頑張らなくても大丈夫とされています。
2. 重症化したら「妊娠悪阻」——早めに受診を
つわりとは異なり、治療が必要になるのが 妊娠悪阻(にんしんおそ)。

〇妊娠悪阻の特徴
- 嘔吐が止まらない
- 体重が5%以上減る
- 尿ケトン体陽性
- 脱水や電解質異常が出る
0.5~2% の妊婦さんに起こり、入院治療(点滴・安静)が必要になります。
不安が強い方、若年者、多胎妊娠、前回発症した方はリスクが高いとされています。
強い脱水、食事ができない、急激な体重減少 があるときは、必ず産科へご相談ください。
3. 東洋医学:つわりは“腎気の消耗”と“冷え”が関係?
東洋医学では、つわりは 妊娠で「腎気(生命エネルギー)」が消耗し、体の温める力や水分代謝が弱くなることで起こる と考えます。
〇腎が弱るとどんな症状が?
- 吐き気・食欲低下
- むくみ
- だるさ
- 頻尿・夜間尿
- 冷え
妊娠によって腎気が消耗され、そこへ「冷え」が加わると症状が強く出がちです。
〇腎が弱る → 水の調整が弱る → むくみ・頻尿へ
- 腎は「水の代謝」を統括する臓
- 腎気が減るとむくみや頻尿が出やすい
- 冷えが腎をさらに弱らせる → つわりが悪化
体を温め、腎気を補うことで、むくみ・頻尿・吐き気が同時に軽くなるケースは臨床でも多く見られます。
4. 鍼灸はつわりに役立つ?——エビデンスと経験から
つわりに対する鍼灸の臨床研究は、世界的にも多く行われています。
〇エビデンス(Matthewsらのコクランレビュー2015)
生姜は、弱いながらも効果が認められている
内関(PC6)の指圧は「可能性はあるが、証拠は限定的」との評価
→ 副作用が少ない、安全性の高い対処法として推奨できる→試す価値あり!
→ ただし過剰に期待しすぎない、というバランスが大切。「試してみて、効けばラッキー」くらいの気持ちで
コクランレビューは、厚労省が運営している「統合医療情報発信サイト」で読むことができるので、参考にしてみてください。
5. せりえ鍼灸室が行う、安心の“統合ケア”
当院では、
西洋医学と東洋医学の得意分野を組み合わせたケア を大切にしています。
西洋医学の視点
- 妊娠悪阻の兆候がないか
- 脱水・栄養状態を確認
- 安全に治療できるかの判断
東洋医学の視点
- 腎気の消耗
- 冷えの有無
- 気血の偏り
- むくみ・頻尿・胃の働きの弱り
双方を丁寧にみていくことで、妊婦さんの負担を最小限にしながら、症状を確実に軽減する道が見えてきます。
6. セルフケア:今日からできるやさしいつわり対策
- あたたかい飲み物を少しずつ
- 空腹・満腹を避ける
- 生姜を無理なく取り入れる
- 内関(PC6)を軽く押す
- 香りが苦手な食材は避ける
- できるだけ休む
- 無理に食べなくていい。食べられるものは何でも食べる
(胎児は母体の栄養で育ちます) - 周囲の人たちを頼り、助けを求める
「できることを、できるときに」が合言葉です。
まとめ:つわりは“がまんしなくてもいい時代”へ
つわりは、多くの妊婦さんが経験する自然な体の反応。
だからこそ「仕方ない」と我慢される方が多いのですが、
安全な非薬物療法で軽くできる可能性は十分にあります。
- 科学的根拠に基づくケア(内関刺激・生姜)
- 体質に合わせた鍼灸
- 無理のない生活アドバイス
つわりでつらい時間が少しでも減り、「妊娠期をもっと安心して過ごせた」と感じていただけることが、私たちの願いです。
つらいときは、どうぞ一度ご相談ください。
この記事の内容について、動画でもわかりやすく解説しています。
初めて鍼灸を受けるか迷っている方にもおすすめです。
文章では伝えきれないポイントもお話ししていますので、ぜひこちらもご覧ください。
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次回第5回のテーマは「妊娠中の腰痛・坐骨神経痛 薬が使えない時の‟安全な選択肢”としての鍼灸」です。安全性と有効性についてエビデンスを元に解説します。ご期待ください。
せりえ鍼灸室は、東洋医学の知恵と繊細な技術で、妊娠中をはじめ、その他のステージの女性のからだや妊活もサポートしています。
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