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シリーズ|49歳からのお灸教室

【第1回】 49歳から感じる心と体の変化

49歳前後から増えてくる、疲れやすさや気分の揺らぎ、眠りにくさ。
病院では異常がないと言われても、心身の違和感に戸惑う女性は少なくありません。
東洋医学ではこの時期を「衰え」ではなく、これからの人生を支えるための再設計期と捉えます。
婦人科医療と対立せず、それぞれの役割を活かしながら、鍼灸による更年期の健康支援について解説します。

更年期は「不調の始まり」ではなく、身体の再設計期 ―

49歳前後になると、これまで大きな不調を感じずに過ごしてきた方でも、
「疲れが抜けにくい」
「気分が安定しない」
「眠りが浅くなった」
といった心身の変化を感じることが増えてきます。

そんなときは、自己判断しないで、婦人科を受診することをお勧めします。

婦人科を受診すると、年齢や症状から更年期障害が疑われる場合には、
貧血、高血圧、甲状腺機能異常、膠原病、内耳疾患など他の疾患との関連を鑑別しながら、
女性ホルモンをはじめとした血液検査などの生化学的データをもとに評価が行われます。


その結果、更年期障害と診断されれば、ホルモン療法や漢方薬など、薬物療法を中心とした治療が開始されます。

こうした婦人科医療は、症状の背景にある女性ホルモンの変化を客観的に評価し、必要に応じて医学的に介入できる点で、非常に重要な役割を担っています。
女性ホルモンの低下は、ほてりや気分の変化といった更年期症状だけでなく、将来的には循環器疾患、がん、骨粗鬆症による骨折などのリスクが高まることも知られています。
そのため、この時期に一度、自分のホルモン状態や健康リスクを把握する目的で婦人科を受診することは、これからの人生をより健やかに過ごすため、健康年齢を延ばすうえでも大切なステップといえるでしょう。

一方で、検査値としては大きな異常が見つからず、
「年齢の変化の範囲でしょう」「もう少し様子を見ましょう」
と言われ、不調はあるものの治療の対象にならないケースも少なくありません。

東洋医学は、このような数値では捉えにくい変化に着目します。
体力や回復力の低下、睡眠の質、気分の揺らぎ、冷えや緊張といった、
日常生活の中で感じる「未病」の状態を、全身のバランスの変化として捉えるのが特徴です。

なお、鍼灸やお灸は、薬物療法を否定するものではありません。
むしろ、必要な薬の効果を妨げることなく併用できる非薬物療法である点は、大きな利点のひとつです。
自律神経の調整や血流の改善、心身の緊張緩和を通して、
治療を受けながらでも日常のつらさをやわらげ、体調の土台を整えるサポートが可能です。

東洋医学では、更年期を「不調の始まり」ではなく、
これからの人生を見据えて、身体の使い方やケアの方法を再設計していく時期と考えます。
医療とセルフケア、それぞれの役割を理解しながら、自分に合った支え方を選んでいくことが大切です。

東洋医学から見た49歳という節目

東洋医学の古典『黄帝内経』では、女性の身体は7年ごとに変化するリズムをもつとされています。
49歳は、7×7にあたる節目の年齢です。

東洋医学では、女性の腎気は7年周期で変化すると考えています。

この時期は、生命活動の基盤とされる「腎気(じんき)」が大きく変化するタイミング。
腎気は、生殖機能だけでなく、
骨・耳・髪・記憶力・気力
など、加齢とともに変化を感じやすい部分と深く関係しています。

つまり49歳は、
身体が壊れ始める時期ではなく、役割を変えながら次のステージへ大きく移行する時期
と捉えることができます。

なぜ症状が人によって違うのか

更年期の症状は、大きく分けて血管運動神経症状と精神症状があり、
・ほてりやのぼせ
・冷え
・不眠
・動悸
・気分の落ち込み
・イライラ
・記憶力の低下
など多岐にわたります。

更年期症状は全身に現れます。形井秀一 更年期の鍼灸治療 -「養生」思想と対話を大事にして- 「疾患別治療大百科シリーズ7-産婦人科疾患」
p115 医道の日本社 2002 より 

東洋医学では、これを「女性ホルモンの低下」だけで一括りにはしません。
これまでの生活習慣、仕事や家庭での負荷、睡眠や食事、冷えの有無など、
長年の積み重ねが49歳前後に表面化すると考えます。

そのため、同じ年齢でも症状の現れ方が違うのです。

更年期は「治す対象」ではなく「整え直す時期」

東洋医学的な健康支援の特徴は、
「症状を抑えること」よりも、
身体全体のバランスを見直すことにあります。

49歳からの不調は、
「これまでと同じやり方が合わなくなってきた」
という身体からのサインとも言えます。

このサインを無視せず、

  • 休み方
  • 温め方
  • 自律神経の整え方
  • 自分の身体との向き合い方

を見直すことで、更年期は“つらい時期”から“再設計の時期”へと変わっていきます。

お灸が更年期のセルフケアに向いている理由

お灸は、急激に何かを変える方法ではありません。
穏やかな温熱刺激を通して、
血流や自律神経の働きをゆっくり整えていくケアです。

そのため、

  • 体調の波が大きい時期
  • 薬に頼りすぎたくない時期
  • 自分のペースを取り戻したい時期

に、無理なく取り入れやすい特徴があります。

49歳からの健康は「これから」を見据えて考える

更年期は、人生の終盤ではありません。
50代、60代をどう過ごすかを左右する、大切な準備期間です。

この連載では、

  • 更年期の身体を東洋医学でどう捉えるか
  • お灸を使ったセルフケアの考え方
  • 心・体・社会との関係をどう整えるか

を、学術的背景を踏まえながら、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

「年齢だから仕方ない」とあきらめる前に、
自分の身体を知り、整え、これからの健康をデザインする。

そのためのヒントを、次回から具体的にご紹介していきます。

病院での治療と併用しながら、非薬物療法としての鍼灸を取り入れたい方は、お気軽にご相談ください。

せりえ鍼灸室では、医学的な情報と鍼灸のエビデンスを共有しながら、妊娠期だけでなく、更年期を含む女性のライフステージ全体を見据えた鍼灸ケアを行っています。
症状だけでなく、その方の生活背景やこれまでの経過を大切にしながら、医療と連携した無理のない健康支援を心がけています。

© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。

院長 小井土善彦

全日本鍼灸学会認定鍼灸師。京都市生まれ。 ●略歴 旧早稲田鍼灸専門学校卒業 明治国際医療大学大学院鍼灸学専攻博士課程前期(修士)終了(鍼灸学修士) 筑波技術大学客員研究員(2014年~2017年) 全日本鍼灸学会認定委員会審査委員(2014年~) 現代医療鍼灸臨床研究会会員(評議員) ●教育 神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科 非常勤講師 (2008年~) 森ノ宮医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2009年~2016年) 東京有明医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2016年~) ●所属学会 全日本鍼灸学会、日本母性衛生学会、日本東洋医学会、日本脳神経外傷学会 ●主な研究テーマ 産婦人科領域における鍼灸治療の研究 軽度外傷性脳損傷および軽度外傷性脳損傷に対する鍼灸治療に関する研究 ●趣味、特技 スキー、音楽鑑賞、読書、写真、旅行、ドライブ、釣り、シュノーケリング、キャンプ、ハイキング、料理、ショッピング、昼寝・・・

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