第5回 更年期は“心の揺らぎ”があっていい
― ミドルエイジ・クライシスと東洋医学 ―
更年期という言葉から、
のぼせや冷え、不眠などの「体の症状」を思い浮かべる方は多いでしょう。
けれど実際には、
「理由のない不安」
「気分の落ち込み」
「焦りや虚しさ」
といった心の揺らぎに戸惑っている方も少なくありません。
それは、決して特別なことではありません。
心が揺れるのは「弱さ」ではない
40代後半から50代にかけては、
人生の中でも多くの役割が重なり合う時期です。
- 子どもの成長や自立
- 親の介護や老い
- 仕事上の責任の変化
- 自分自身の体力や価値観の変化
これらが同時に訪れることで、
「これからの人生をどう生きるのか」
という問いに、否応なく向き合うことになります。
心理学では、この時期を
ミドルエイジ・クライシス(中年期の危機)
と呼ぶことがあります。

東洋医学でみる「心の揺らぎ」とは
東洋医学では、
心と体は切り離せないものと考えます。
特に更年期の心の不調は、
単なる「気の持ちよう」ではなく、
「気」の巡りの乱れとして捉えられます。
- 気が滞る → 気分の落ち込み・イライラ
- 気が不足する → 不安感・自信の低下
- 気が上に昇る → 焦燥感・眠れない
こうした変化は、
ホルモン環境の変化や、社会的な役割の重なりと
深く関係しています。
「我慢している自分」に気づく時期
更年期の女性の多くが、
長い間「周囲を優先する生き方」を続けてきました。
- 家族のため
- 職場のため
- 期待に応えるため
その積み重ねが、
心と体の余白を少しずつ奪っていきます。
不調は、
「もう少し自分の声を聞いてほしい」という
体からのサインかもしれません。
一人で抱えない、という選択肢
「この程度で相談していいのかな」
「気分の問題だから我慢しよう」
そう思ってしまう方ほど、
実は限界が近づいていることがあります。
鍼灸は、
心を直接“治そう”とするものではありません。
気の巡りを整え、
体をゆるめ、
心が自然に落ち着く土台を作る
非薬物療法です。
言葉にしづらい不調も、
体からアプローチすることで
少しずつ整理されていくことがあります。
まとめ:揺らぎは「立て直し」の始まり
更年期の心の揺らぎは、
人生が行き止まりに来たサインではありません。
むしろ、
これからの生き方を立て直すための節目です。
一人で抱え込まず、
体から整えるという選択肢があることを、
どうか覚えておいてください。

せりえ鍼灸室では、医学的な情報と鍼灸のエビデンスを共有しながら、妊娠期だけでなく、更年期を含む女性のライフステージ全体を見据えた鍼灸ケアを行っています。症状だけでなく、その方の生活背景やこれまでの経過を大切にしながら、医療と連携した無理のない健康支援を心がけています。
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