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シリーズ「年代別 妊活と身体の整え方 ― 東洋医学からみるライフプランとセルフケア」を終えて

正しい情報にたどり着くために―妊活と鍼灸をめぐる“誤解”と、私たちが伝えたいこと

「不妊症」「鍼灸」と検索すると、インターネットには驚くほど多くの情報がヒットします。その中には、「○歳で妊娠」「成功率○○%」といった、希望をあおる言葉も少なくありません。しかし、これらの情報には根拠が乏しいか無いものがほとんどで、真剣に妊活と向き合う方が冷静に判断しづらい状況が生まれています。11月11日からスタートした本シリーズを終えホッとしていますが、伝えきれない思いが残っています。本稿では、鍼灸師として感じてきた情報発信の問題点と、せりえ鍼灸室が30年にわたり大切にしてきた姿勢をお伝えします。

「〇〇%成功」「〇歳で妊娠」…インターネットにあふれる“根拠の乏しい言葉”

インターネットで
「不妊症 鍼灸」
と検索すると、目に飛び込んでくるのは、

  • 「〇〇%妊娠!」
  • 「〇歳で自然妊娠!」
  • 「短期間で成功!」

といったキャッチコピー。

しかし、第8回「35〜39歳:変わりゆく身体と向き合う」で触れたように、
ART(高度生殖医療)の実際の成功率は決して高いものではありません。

冷静なときにデータを見れば、
“根拠の乏しい宣伝”
だと判断できます。

ところが、多くの方は藁にもすがる思いで情報を探しており、
正常な判断が難しくなるのも当然です。

同じ国家資格を持つ鍼灸師による不正確な発信―心苦しさ」と「危機感」

私が心を痛めているのは、
こうした誤解を招く情報を、国家資格を持つ鍼灸師が発信している現状
があることです。

そのような情報が広がるほど、
鍼灸師全体が市民や医療者から
信頼を失ってしまう危険性
があります。

だからこそ、
「今の鍼灸を、誠実な形で伝えたい」
という危機感と使命感から、このシリーズを書き始めました。

情報に迷ったら参考にしてほしい―「統合医療情報発信サイト」の活用法

第4回
「不妊症に対する鍼灸治療のエビデンス ― コクランレビューから読み解く『効果』と『誤解』」

でも紹介しましたが、

統合医療情報発信サイトが示す「信頼できる情報の見極め方」
は、これから妊活を始める方にとって非常に役に立つ情報が記載されています。

当院でもこの基準をもとに、
患者さんにとって最適な方法をともに考える姿勢
を大切にしています。

せりえ鍼灸室の30年―妊娠・出産を支えるケアの変遷

自然なお産が注目されていた1990年代、当院はスタートした

当院が「妊婦さんでも安心して治療が受けられる鍼灸院」を掲げて開業したのは約30年前。

当時は、

  • 過度な医療介入への疑問
  • 自然なお産への回帰
  • 身体づくりへの関心の高まり

といった流れがあり、私たちの役割も明確でした。

妊活相談が増え始めたのは、体外受精クリニックが開院し始めたた20年ほど前

体外受精を専門とするクリニックが近隣に開院し、
妊活の相談件数が急増した時期です。

予診票でも、

  • 「妊娠や月経に関する項目」
  • 「将来妊娠を希望している」

といった内容を追加し、
患者さんのニーズに合わせてアップデートしてきました。

 出産スタイルが多様化する中でも“身体づくり”の重要性は変わらない

近年は、無痛分娩が一般的に選べるようになり、
お産のスタイルは大きく変わりました。

しかし、

妊娠出産は母児にとって命がけの営みであることに変わりはありません。

長年、妊娠中・産後の女性を診てきて確信しているのは、
どんな選択をしても身体づくりは不可欠
だということです。

『妊活お灸』に込めた思い―妊活は“自分を整える入口”

拙著『妊活お灸』で伝えたかったのは、

妊活は、心と身体の健康づくりに取り組むための入口である

ということ。

鍼灸ができるのは、

  • 自律神経を調整する
  • 冷えやストレスを緩和する
  • 睡眠や消化といったリズムを整える

といった “土台づくり” “有機栽培の土づくり”のサポート。

未来の妊娠だけでなく、
未来の健康にもつながります。

妊活の現場で起こる「生命の不思議」

長く不妊治療を続けている方の中には、
印象的なケースがあります。

採卵できても受精しない、
受精しても分割しない、
胚盤胞を移植しても反応がない・・・。

そんな状況が続いた後、

医療機関や刺激方法を変えたわけでもないのに、突然「元気な卵子」が採れ、妊娠・出産に至ることがあるのです。

原始卵胞は「元気なものから順番に」ではなく、ランダムに目覚める

近年わかっているのは、

原始卵胞が目覚めるタイミングはランダムで、予測できない

ということ。

つまり、
鍼灸でも、最新の生殖医療でも、
原始卵胞自体を若返らせたり操作したりすることはできません。

生命現象は、本当に気まぐれで、不可思議です。

鍼灸治療の最中に奇跡のような結果が訪れたとしても、
それは“生命側のタイミング”がたまたま一致しただけであり、
鍼灸が直接作用したという医学的根拠はありません。

鍼灸は奇跡をつくるものではない。しかし“奇跡を受け止める身体”を育てることはできる

鍼灸は奇跡を起こすことはできません。
奇跡は“めったに起きない生命の出来事”だからこそ奇跡です。

しかし、鍼灸には、

そのタイミングが訪れたときに、身体がそれを受け止められる状態を整える力

があります。

これこそが、
長年妊活と向き合ってきて感じる、
鍼灸師としての確かな役割だと考えています。

まとめ―正しい情報に触れ、身体づくりを味方にしてほしい

妊活は、不安と期待が入り混じる非常にデリケートなテーマです。
だからこそ、

  • 誇張された情報に迷わず
  • 自分に合った選択をし
  • 身体づくりを続け
  • 必要なサポートを受ける

これらを大切にしてほしいと願っています。

〇〇専門に迷わされず、〇〇専門を標榜していなくても、お腹がすいて、ご飯が美味しく食べられて、お通じやお小水が順調で、ぐっすり眠れる、治療を受けているうちにそんな当たり前の健康を取り戻すことを得意とする本来の鍼灸医療を提供している鍼灸院を選んでください。

当たり前の元気が、腎気を養うために最も重要。

私たち鍼灸師はこれからも、
あなたの身体と人生に寄り添いながら、
誠実な情報と確かなケアを提供していきます。

この記事の内容について、動画でもわかりやすく解説しています。
初めて鍼灸を受けるか迷っている方にもおすすめです。
文章では伝えきれないポイントもお話ししていますので、ぜひこちらもご覧ください。
YouTube動画はこちら

せりえ鍼灸室は、東洋医学の知恵と繊細な技術で、妊娠中をはじめ、その他のステージの女性のからだや妊活もサポートしています。

© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。

院長 小井土善彦

全日本鍼灸学会認定鍼灸師。京都市生まれ。 ●略歴 旧早稲田鍼灸専門学校卒業 明治国際医療大学大学院鍼灸学専攻博士課程前期(修士)終了(鍼灸学修士) 筑波技術大学客員研究員(2014年~2017年) 全日本鍼灸学会認定委員会審査委員(2014年~) 現代医療鍼灸臨床研究会会員(評議員) ●教育 神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科 非常勤講師 (2008年~) 森ノ宮医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2009年~2016年) 東京有明医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2016年~) ●所属学会 全日本鍼灸学会、日本母性衛生学会、日本東洋医学会、日本脳神経外傷学会 ●主な研究テーマ 産婦人科領域における鍼灸治療の研究 軽度外傷性脳損傷および軽度外傷性脳損傷に対する鍼灸治療に関する研究 ●趣味、特技 スキー、音楽鑑賞、読書、写真、旅行、ドライブ、釣り、シュノーケリング、キャンプ、ハイキング、料理、ショッピング、昼寝・・・

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