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第7回 30〜34歳:整える力と受け入れる力を高める ― 忙しさの中で“妊娠の土台”をつくる

30〜34歳は、仕事・家庭・ライフプランのすべてが動き出す時期。忙しさの中でホルモンバランスが揺らぎやすく、妊娠を意識し始める方も増える年齢です。第1子出生時の母の平均年齢の年次推移を見ると、2024年は31歳。30代に入り、仕事も生活も安定してきた一方で、「そろそろ妊活を意識しようかな」と考え始める時期が重なります。

この記事では、東洋医学の視点から30代前半の身体の変化を捉え、妊活の準備として取り入れたい生活習慣・セルフケア・鍼灸の活用法を解説します。また、原始卵胞の数に個人差があるため、AMH検査を活用した妊活戦略づくりの重要性についても触れていきます。

30〜34歳は、多くの女性にとって身体の「土台づくり」が大きく影響する時期です。まだ妊娠力が十分に期待できる年代でありながら、仕事や生活の忙しさから気づかないうちに負荷が積み重なり、ホルモンのリズムが乱れやすい特徴があります。

1. 忙しさの中で揺らぎやすいホルモンバランス

この年代は責任の大きな仕事を任されることも多く、睡眠不足・不規則な食事・慢性的な緊張が続きやすくなります。
東洋医学でいう「肝(かん)」がストレスで滞ると、月経周期が乱れたり、排卵のリズムがずれたりしやすくなります。

妊娠を考え始めたら、まずは生活のリズムを丁寧に見直し、月経周期の把握を始めることが “整える妊活” の第一歩です。

2. 年齢だけでは判断できない ― 原始卵胞数とAMH検査

妊娠力は年齢とともに低下する傾向がありますが、「卵の数」には大きな個人差があります。
同じ30〜34歳でも、原始卵胞の数が多い人もいれば、少ない人もいます。

そこで役立つのが AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査 です。

  • 卵巣に残っている原始卵胞数の目安がわかる
  • 今後の妊活スケジュールが立てやすくなる
  • “どれくらい急ぐべきか” が明確になる
  • 不妊治療を検討するタイミングも判断しやすい

原始卵胞は胎内にいる時が最も多く胎生(妊娠)20週前後では700万個にまで達しますが、出生時には200万個にまで減少し、その数は増えることはなく、月経が始まる頃には20~30万個にまで減少すると言われています。これはあくまでも平均の数で、個人差は大きいことも知られています。

下図は、W Hamish B Wallaceらが数値モデルを使って予測したNGF(非成長卵胞)を説明した図です。胎内にいた20週齢、出生時、13歳、25歳、35歳における平均NGF(非成長卵胞)が、それぞれの95%予測区間とともに示されており、原始卵胞の数は人により大きく異なることが分かります。

高井泰 卵巣・卵子の老化 臨婦産.2018.72(12) 特集女性のアンチエイジング1220-7より引用

妊娠を意識し始めた時点でAMHを確認することは、無理のない妊活戦略を立てるうえで大きな助けになります。
今の自分の状態を知ることは、焦りを減らし、将来に安心感をもたらしてくれます。

3. 睡眠・食事・運動 ― 基本の見直しが効果を生む年齢

30〜34歳は、ほんの少しの生活習慣のズレが体調に大きく影響します。

〇 睡眠

  • 成長ホルモン分泌のためにも6.5〜7.5時間を確保。人により異なりますが、おおむね20時〜2時は、日中に壊れた細胞を修復すると言われている成長ホルモンが出る時間帯。
  • 成長ホルモンは、大人になっても出続けるそうなので、この時間帯に眠っていないことは、お肌のコンディションを考えるうえでももったいない。
  • この時間に眠ることで、感情や自律神経の安定にもつながります。

〇 食事

  • 朝食を抜くと、後天の気が摂りいれられなくなり“気血不足”の原因に
  • カフェインの摂りすぎ、夜遅い食事も脾胃に負担がかかります
  • タンパク質・鉄分・ビタミンB群の不足に注意

〇 運動

  • 時間がある方は、ストレッチ・ヨガ
  • 時間がない方は、通勤時に「早歩き」
  • 1駅分のウォーキングもおすすめ
    →血流が整い、ホルモンの波も安定

特に血流の改善は卵巣機能にも良い影響を与えるため、「無理なく続けられる運動」を日常に取り入れることが大切です。

30代前半は「整える力」を取り戻す生活習慣の見直しが最優先です。

4. 東洋医学で整える「脾」と「肝」のバランス

東洋医学では、妊娠しやすい身体には脾(消化・吸収)肝(気の巡り・ストレス調整) が調和して働くことが重要とされます。

  • :食べたものを“エネルギー”へ変える力
  • :気血の流れをスムーズにし、排卵や月経リズムを支える

この二つが乱れると、むくみ、疲労感、月経の乱れ、PMSなどが強くなりやすくなります。

脾が弱ると

  • 疲れやすい
  • 冷え
  • むくみ
  • 月経量が少ない
  • 排卵のリズムが乱れる

肝が滞ると

  • イライラ
  • PMS
  • 月経痛
  • 肩こり
  • 自律神経の乱れ
    → 排卵のタイミングにも影響

30〜34歳は、脾と肝の働きを整えると妊娠力の土台が安定する年代です。 鍼灸では、脾と肝のバランスを整えることで、ホルモンリズムの安定と妊娠しやすい身体づくりをサポートします。

5. 鍼灸で“リズムの再調整”をサポート

30代前半は、少しの不調が積み重なりやすく、妊娠に向けた「身体の余裕」が不足しがちです。鍼灸は、生活の忙しさで乱れた身体のリズムを整えるサポートが得意です。

鍼灸で期待できる効果

  • 自律神経の安定
  • 気血水の巡りを改善
  • 月経周期の乱れの改善
  • PMS・月経痛の軽減
  • ストレスによる肝気の停滞を緩和
  • 脾の働きを助けて疲労を解消

といった効果が期待でき、「忙しさの中で崩れたリズム」を取り戻しやすくなります。
AMH検査で卵胞数を把握しつつ、実際の身体の状態を鍼灸で整えていくことで、無理のない妊活プランをつくることができます。

お薦めのツボとしては

  • 脾の調子を整える:足の太陰脾経にある三陰交(さんいんこう)
  • 胃の調子を整える:足の陽明胃経にある足三里(あしさんり)
  • 肝の働きを整える:足の厥陰肝経にある太衝(たいしょう)

などの基本穴は、脾・肝・腎を総合的に整える作用があり、30代前半の体質改善に適しています。自宅でできるセルフケア法としては、お灸や指圧があります。お灸の方法は、過去の記事や拙著を参考にしてください。分かりにくい場合は、国家資格を有しているきゅう師にご相談ください。指圧は、ゆっくり丁寧に、気持ちの良い程度に圧を調整するのがポイントです。効果を求めるあまり、強く圧すのは禁物です。

太衝(LR3)は、ストレスで滞った血流を改善させてくれるかも?

まとめ:30〜34歳は“整えて受け入れる”準備期間

この年代は、

  • ストレス
  • 忙しさ
  • 不規則な生活
    が妊娠力に影響しやすい時期。

だからこそ、
「整える力」と「受け入れる力」を同時に育てる妊活 が大切です。

  • ホルモンリズムの乱れに気づく
  • 睡眠・食事・運動を整える
  • 脾と肝のバランスを保つ
  • 鍼灸で体質の巡りを整える

無理をする妊活ではなく、「いまの自分の身体」と向き合いながら、未来の妊娠につながる土台をつくる時期です。

この記事の内容について、動画でもわかりやすく解説しています。
初めて鍼灸を受けるか迷っている方にもおすすめです。
文章では伝えきれないポイントもお話ししていますので、ぜひこちらもご覧ください。
YouTube動画はこちら

次回第8回のテーマは、「35〜39歳:変わりゆく身体と向き合う」です。ご期待ください。

せりえ鍼灸室は、東洋医学の知恵と繊細な技術で、妊娠中だけでなく、その他のステージの女性のからだや妊活もサポートしています。

© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。についてお伝えします。

院長 小井土善彦

全日本鍼灸学会認定鍼灸師。京都市生まれ。 ●略歴 旧早稲田鍼灸専門学校卒業 明治国際医療大学大学院鍼灸学専攻博士課程前期(修士)終了(鍼灸学修士) 筑波技術大学客員研究員(2014年~2017年) 全日本鍼灸学会認定委員会審査委員(2014年~) 現代医療鍼灸臨床研究会会員(評議員) ●教育 神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科 非常勤講師 (2008年~) 森ノ宮医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2009年~2016年) 東京有明医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2016年~) ●所属学会 全日本鍼灸学会、日本母性衛生学会、日本東洋医学会、日本脳神経外傷学会 ●主な研究テーマ 産婦人科領域における鍼灸治療の研究 軽度外傷性脳損傷および軽度外傷性脳損傷に対する鍼灸治療に関する研究 ●趣味、特技 スキー、音楽鑑賞、読書、写真、旅行、ドライブ、釣り、シュノーケリング、キャンプ、ハイキング、料理、ショッピング、昼寝・・・

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