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第8回 35〜39歳 変わりゆく身体と向き合う―いま必要な“現実”と“ケア”

35〜39歳は、妊娠力の大きな転換期。卵子の老化が進みやすく、ホルモンバランスにも変化が起こりやすい年代です。産婦人科学会のデータでも、35歳を境に妊娠率・出産率が低下し、流産率が上昇することが示されています。
本記事では、東洋医学における「腎気」の変化、最新のART成績、自分の身体の向き合い方、そして不妊治療と鍼灸の併用の意義についてわかりやすく解説します。心と身体の両面から“いま必要なケア”を考える一回です。

1. 35歳は身体の転換点―卵子の老化と「腎気」の変化

卵子は加齢とともに質が低下し、染色体異常の割合が増えることが知られています。
東洋医学でも、女性の身体は 7年周期 で変化するとされ、35歳(7×5の節目)は「腎気」が弱り始める転換点と位置づけられています。

卵子の低下が始まると言われる35歳は、東洋医学が考える腎気が衰え始める年齢と重なる

腎気が弱ると、

  • 冷えや疲労の増加
  • 月経量の変化
  • ホルモンリズムの乱れ

といった症状が現れやすくなります。

この年代では「若さで乗り切る」よりも、いまの卵巣機能をどう守るか妊娠中に消耗する腎気をいかに維持し高めておくか、が大切なテーマになります。

2. データが示す現実―ARTの治療成績と35歳のターニングポイント

日本産科婦人科学会(JSOG)の統計では、
35歳前後を境に妊娠率・出産率は下降し、流産率が上昇することが報告されています。

2022年のART治療成績(日本産婦人科学会 ARTデータブックより 20240902参照)
  • 34歳まで:妊娠率・生産率は比較的高い
  • 35歳以降:妊娠率は低下傾向、流産率は上昇傾向
  • 37〜38歳:より顕著に下降
  • 40歳に向けて急速に変化

この「年齢による差」は誰にでも起こる自然な変化です。
現実を知ることは決して焦らせるためではなく、適切な選択をするための“力”になる と私たちは考えています。

3. まず“自分の身体を知ること”から始める

35〜39歳は、無理をすればするほど身体の声が聞こえにくくなる年代です。

  • 月経の変化
  • 疲労の回復の遅さ
  • 睡眠の質の低下
  • むくみ・冷えの増加
  • ストレスへの過敏さ

こうしたサインを無視せず、「自分の基準」を丁寧に把握することが妊活の第一歩になります。

必要に応じて、以下の検査を組み合わせると、妊活の道筋が立てやすくなります。

  • AMH(卵巣予備能)
  • 甲状腺機能
  • 超音波による卵巣の状態チェック
  • 栄養状態

身体の現状を知れば、焦りではなく計画的な妊活に切り替えることができます。

4. 不妊治療と鍼灸の併用― ぜ効果的なのか?

この年代では、タイミング法・人工授精・体外受精のどれを選ぶにしても、「質を整えるケア」が非常に重要になります。

鍼灸の併用には、以下のようなメリットがあります

  • 自律神経を介した卵巣・子宮周囲を含めた全身の血流調整
  • ストレス緩和
  • 睡眠の質向上
  • ホルモンバランスのサポート
  • 治療に伴う身体的・精神的負担の軽減
  • 採卵・胚移植の周期を整えやすい

ARTと鍼灸を組み合わせることは、患者さんの心身の健康にとって大きなメリットがあり、ARTと併用可能な補完医療の中でも鍼灸は有効な選択肢の一つです。

縄文杉を育てている屋久島の森

森本義晴氏(IVFなんばクリニック 院長 現HORAC グランフロント大阪クリニック院長)は、不妊予防のためのマニュアル NPO法人日本不妊予防協会 久保春海編 2008年の中で、「‟森を見る“アプローチは、代替医療としての補完性という意味からは大きな援軍となるので、無視できない。日本には東洋医学を実践する鍼灸師をはじめとする人々が、身近に大勢いるので、相互協力がしやすい」と述べられており、自身のクリニックにいち早く取り入れられています。

5. 妊娠はゴールではなく、通過点。

どの年代の妊産婦さんにもリスクはありますが、年齢が上がるにつれてトラブルが発生する率が高くなります。明確な定義はありませんが、一般的には35歳以上での出産を「高齢出産」と呼び、リスクやその予防法を知っておくことが大切です。

流産や出産時のトラブルとしては

  • 流産や早産になりやすい
  • 妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病をおこしやすい
  • 子宮筋腫や卵巣嚢腫など婦人科疾患を合併しやすい
  • 肥満になりやすい
  • 難産や帝王切開になりやすい
  • 産後の回復が遅い
  • など

これらのトラブルは、統計から見える傾向であって、個人差が大きく、35歳以上の妊婦さんが全員危険というわけではありません。自身の健康管理ができていれば、35歳以上でも元気な赤ちゃんを主体的に産み、元気に子育てをすることが可能です。

6. 心と身体の再調整 ― 立ち止まる勇気も大切

35〜39歳で妊活をしていると、
期待・不安・焦り・疲労が複雑に絡み合い、心のバランスが乱れやすくなります。

東洋医学では「心身一如」といい、心の状態は身体に、身体の状態は心に深く影響すると考えます。

  • 一人で悩まない
  • 頑張りすぎない
  • 自分を責めない
  • 習慣・呼吸・休息を整える

パートナーとの関係を大切にすることとともに、自分も大切に扱うことは、妊活の道のりでとても重要です。

鍼灸は、身体の緊張をほどき、心もふっと軽くなる“回復の時間”をつくることで、自分を取り戻すお手伝いができます。

この記事の内容について、動画でもわかりやすく解説しています。
初めて鍼灸を受けるか迷っている方にもおすすめです。
文章では伝えきれないポイントもお話ししていますので、ぜひこちらもご覧ください。
YouTube動画はこちら

次回第9回のテーマは、「40歳代:知ることと整えることから始める」です。ご期待ください。

せりえ鍼灸室は、東洋医学の知恵と繊細な技術で、妊娠中だけでなく、その他のステージの女性のからだや妊活もサポートしています。

© 2025 Yoshihiko Koido. 本記事の内容の無断転載・引用を禁じます。についてお伝えします。

院長 小井土善彦

全日本鍼灸学会認定鍼灸師。京都市生まれ。 ●略歴 旧早稲田鍼灸専門学校卒業 明治国際医療大学大学院鍼灸学専攻博士課程前期(修士)終了(鍼灸学修士) 筑波技術大学客員研究員(2014年~2017年) 全日本鍼灸学会認定委員会審査委員(2014年~) 現代医療鍼灸臨床研究会会員(評議員) ●教育 神奈川県立衛生看護専門学校 助産師学科 非常勤講師 (2008年~) 森ノ宮医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2009年~2016年) 東京有明医療大学保健医療学部 鍼灸学科 非常勤講師(2016年~) ●所属学会 全日本鍼灸学会、日本母性衛生学会、日本東洋医学会、日本脳神経外傷学会 ●主な研究テーマ 産婦人科領域における鍼灸治療の研究 軽度外傷性脳損傷および軽度外傷性脳損傷に対する鍼灸治療に関する研究 ●趣味、特技 スキー、音楽鑑賞、読書、写真、旅行、ドライブ、釣り、シュノーケリング、キャンプ、ハイキング、料理、ショッピング、昼寝・・・

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